不耕起栽培とは畑を耕さずに栽培する農法です。
この農法の目的は『環境に優しく、且つ持続的な農業』の確立でありますが、
それは「根圏生物、根圏微生物、雑草との共生」が目的とも言えます。
この栽培におけるメリットの一つとして、畑に何も植え付けしていない期間を
最小限に抑えることができる事です。
通常の栽培では作物の収穫を終えた後に、
根を片付け→苦土石灰を撒く→耕す→しばらく放置→堆肥・元肥を施肥する→
耕す→しばらく放置→植え付けとなります。
この工程を最短で済ませたとしても2週間ほどかかります。
これが不耕起栽培だと苦土石灰を撒かずに済むので大幅な短縮ができることになり、
更にあらかじめポット苗を作っておけば、それを収穫後の穴に植え付けることにより、
収穫から次の作物の定植完了まで連続して作業を行うことが出来ます。
その他のメリットとしては、前作の作物の根や、同時に生えた雑草の根を残すことにより、
その根が枯れた後に土中では根穴構造が生まれます。
土中に張り巡らされた根が枯れた後は連続気孔になっていますので、
排水性も保水性もよくなり、干ばつや長雨にも強くなります。
このことは肥料を撒いた時も、効率よく土中に浸み込んでいくことになります。
それと全体に施肥しないことにより根量が多くなることで倒伏を防ぐことに繋がり、
土寄せ等の作業も最小限で済みます。
また前作の作物残渣を地表に放置できることになり、それらが土壌のマルチとなって
風雨による土壌流出を緩和できることになります。
このように不耕起栽培を続けることにより、
土は団粒化した軟らかくて崩れにくい
理想的な状態になります。
それに対して一般的な耕起栽培では、機械で深くまで耕すことになりますので、
空気を多量に含んだ極めて柔らかい土壌が出来上がります。
この状態だと土中では多量の酸素が強引に入るため、
好気性バクテリアが爆発的に増殖しアンモニア→亜硝酸→硝酸塩と分解します。
この時に酸素と有機物を消費することで、二酸化炭素が発生することになります。
二酸化炭素が発生することにより、土中の有機物が気体になって放出されます。
その後、嫌気性バクテリアにより硝酸塩→亜硝酸→窒素→水に分解されてしまいます。
結果、耕せば耕すほど土壌は痩せていくことになります。